ミャンマーの合気道
1.概要
ミャンマーの合気道は2013年8月で60周年を迎え、盛大に記念演武会が開催されました。
ミャンマーでは2015年12月現在、合気道人口は約500名以上で有段者は80名以上を数えます。
日本ミャンマー合気会は、Myanmar Aikido Association(MAA、合気会公認団体)を支援しており、毎年日本から稲垣繁實師範他が訪緬、稽古指導及び昇段審査を実施、更に年1−2回日本の合気道仲間がミャンマーを訪問し交流稽古を通じて現地との親睦を深めています。
また、1999年よりミャンマー人研修生を指導者育成のため1−2年間日本に招聘しており、既に10人が帰国後現地で指導者として活躍しています。
2.歴史
合気道が日本の外へ出たのはミャンマーが最初でした。ミャンマーに合気道が伝わって60年を越える歴史を持っています。
1953年(昭和28年) |
村重有利師範及び黒石公男氏がマンダレー警察学校へ日本の戦争賠償に代わる文化供与使節として、合気道指導のため派遣された。(2年間) |
1955年(昭和30年) |
Burma Aikikai 設立 |
1958年(昭和33年) |
山口清吾師範が同様に文化供与使節として国防軍への合気道指導のために派遣される。(1961年まで) |
(26年間) |
鎖国により日本からの指導中断(U Thaung Dinがこの間稽古指導)
国名 変更により、Burma Aikikai から Myanmar Aikikai へ変更 |
1994年(平成6年) |
富士通大橋雄一氏の協力により合気会本部道場との交流を再開 |
1996年(平成8年) |
11月 |
ツワナスタジアムにて大演武会を開催(日本から磯山博師範・稲垣繁實師範以下10名、現地のメンバー50名が演武。観衆政府要人以下8,500名。) |
12月 |
U Thaung Din 逝去 |
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1997年(平成9年) |
稲垣繁實師範による年3回の稽古指導開始
日本からの道場寄付及び道場開きのため、小林幸光師範以下同友15名が訪緬、現地の合気道仲間との交流稽古(5月)
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以降毎年2〜3回稽古指導と交流稽古・審査を実施している。 |
山口師範/村重師範
U Thaung Din
青空道場
年3回の講習会/審査会
村重有利(Murashige Aritoshi)師範 略歴
1895年1月7日 |
山口県生まれ |
1909年 |
武徳会で柔道修行開始する。 |
1930年 |
合気道入門 |
1935年 |
満州へ渡る。 |
1953年7月 |
ビルマ国(現在のミャンマー)警察学校で合気道を指導開始。マンダレーで2年間。その後、1959年7月までラングーン(現在のヤンゴン)でラングーン大学の学生他に指導。 |
1961年 |
ベルギーで合気道指導。 |
1964年 |
ベルギー国ルパン郊外にて交通事故死。 |
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山口清吾(Yamaguchi Seigo)師範 略歴
1924年4月13日 |
福岡県生まれ |
1950年 |
合気道開祖、植芝盛平翁に入門し以降は合気道に専念する。 |
1958年7月より |
ビルマ(現在のミャンマー)国防軍に合気道指導を行う。国の派遣。 |
1961年 |
帰国、本部道場や国内各地で合気道指導
本部道場では通常の稽古の他、有段者特別稽古をしばしば開催、時にはプロ野球の球団に教えることもあった。 |
1977年より |
欧州において毎年(主にフランスを中心にして)合気道指導、以降、1995年までフランス(主にパリ)、イギリス(オックスフォード)、ドイツ(主にマンハイム)で毎年指導、特にマンハイム大学では合気道が正規の講座になっている。 |
1992年1月 |
日本武道協議会より武道功労賞を授賞 |
1994年1月 |
合気道9段位に列される。 |
1996年1月24日 |
前々日まで稽古指導を行うも持病の悪化により自宅にて逝去(行年71歳)
葬儀は新宿区、太宗寺において山口家により執り行われた(喪主:山口テイ子)。 |
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U Thaung Din(ウ タンディン)先生 略歴
1930年 |
ヤンゴン市生まれ |
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インド・ダージリンで学校生活を送り、ボクシングを習う。帰国後ヤンゴン大学ボクシングクラブのコーチとなる。 |
1953年 |
ヤンゴン大学で村重師範と会う。以後村重師範から合気道を学ぶ。 |
1955年 |
山口清吾師範から合気道を継続して学ぶ。ビルマ合気会を自宅に設立。 |
1960年11月 |
合気会から弐段を取得(No.264)。 |
1963年11月 |
合気会から参段を取得(No.288)。 |
1996年1月 |
合気会から四段を取得。 |
1996年12月5日 |
腎臓病のため逝去。 |
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合気道とは
合気道は植芝盛平翁(1883〜1969)が日本伝統の各種武術の奥義を究め、術から道へと発展させた現代武道です。
合気道の目的は相手と争うことではありません。心身の練成と至誠の人をつくることにあるのです。